死者しにもの)” の例文
再び一枚の布片のやうにくるくるまかれて波打際へ投げあげられた腕間には死者しにものぐるひでありながら這ひだすことが精一杯になつてゐた。
外交に異例の尻まくりの戦術、否、戦術ですらもない、全く殺気をこめ、眼は陰々とすはつて一点を動かずといふ身構へで、死者しにものぐるひにかゝつてくる。
二流の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)