さて、そのやうにして南蛮寺門前を辞した私が、無量の感慨に耽りつつ坂道を下り、橋を渡り、道を左へ取つてなおも散歩をつづけて行くと、やがて日蓮上人辻説法にちれんしょうにんつじぜっぽうあとに差し掛つた。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)