惇氏あつうじ)” の例文
そう答えたッておかしくない。だが、惇氏あつうじ氏は、笑ってこういう。「細川さんへは、貸しがあるんですよ。貸しといっちゃあ、まずいかナ。まア、そんな関係がね」
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それというのも、こんどの旅行中、はからずも尊氏たかうじの末裔、足利惇氏あつうじ氏に会ってしまったためである。半分は惇氏氏のせいだとしよう。大いに語らせねば読者も気がすむまい。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お名前も、足利惇氏あつうじさんである。京大ではぼん文学(東大でいう印度哲学科)の教授、学習院時代には、いまの陛下と同級であったという。だからお年は訊かないでもすむ。五十七。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)