それが恩地小左衛門おんちこざえもんの屋敷のものだと云う事は、蘭袋の内弟子うちでしと話している言葉にもおのずから明かであった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
するとそろそろ秋が立つ頃になって、やはり松平家まつだいらけの侍に不伝流ふでんりゅうの指南をしている、恩地小左衛門おんちこざえもんと云う侍の屋敷に、兵衛ひょうえらしい侍のかくまわれている事が明かになった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)