市民グラジュダニン)” の例文
市民グラジュダニンルイバコフの台所ではさぼてんが素焼の鉢の中で芽をふき、赤い前かけの女中ナーデンカはパン粉をこねている。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
四十年後に、クワルテイラ市民グラジュダニンルイバコフの所有となるであろう。二ヵ月前までの下宿人はペルシア人の男とオデッサ生れの女で、男の本妻はペルシアにあった。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
市民グラジュダニンルイバコフのバルコンは、四辻の広場と乗合自動車の発着所を見下した。広場の中央に電燈入りの時計がある。深更、街燈が消えて暗いときにも時計だけは円く明るい。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
日本女の胆嚢に入ったバイキンは、あらゆる瞬間に、ルバシカに包まれたモスクヷの市民グラジュダニンの胃にも侵入しつつある。モスクヷ全住民の幾割が衛生的な家庭の食事にありついて居るであろうか。
一九二九年一月――二月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)