巻軸かんじく)” の例文
その目的の為めでもなかつたが、私は偶然少女の茶店の隣の表具店に写経の巻軸かんじくの表装をあつらへに行つて店先に腰かけてゐた。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
取り出したのは小長い物、そいつを頭上へズイと上げ、そろそろ一方へ開くのを見れば、間違いのない巻軸かんじくだ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と今度は一膝下がった。「なんと貴殿のお力をもって、イスラエル教主、島原城之介しまばらじょうのすけ、そいつの手から秘蔵の巻軸かんじくそれを取り返してはくださるまいかな?」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちょうどこの頃小梅の寮では、一人広太郎が灯火の下に、例の巻軸かんじくを押しひろげ、その表に見入っていた。広大な城郭の縄張り絵図が、半分だけかかれてあるのであった。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)