小言つぶや)” の例文
面白からぬ心々を載せたればや、とかくに二人が擦れ合ふのみにて口も利かねば、たまたまの事にまた旦那が箱やを起こして、ほんに陰気な事やつたと、下女も丁稚も小言つぶやきぬ。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
朝は我が台所のものよりも、先だちて起き出でたまへば、睡き眼を母様に起こされたる下女の、また浅木さんが早起きしてツ、ついぞ祝儀の一ツも呉れた事はないにと小言つぶやくが例なるに。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
それを申し出せばなほさら小言つぶやかるることと、ぬれ紙にでもさはる様に、あなたの御無理はごもつともとひたすらに謝りゐり、どうやらこふやら、睡りに就いて貰ふ事はたびたびでござりました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)