この中で、露国ろこくの船将が対馬尾崎浦つしまおざきうらに上陸し駐屯ちゅうとんしているとの報知しらせすら伝わった。港はとざせ、ヨーロッパ人は打ちはらえ、その排外の風がいたるところを吹きまくるばかりであった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)