この心理の傾きは、秀吉がいう嫡孫承祖ちゃくそんしょうその正論に肯定を余儀なくされたというだけのものではない。「理」の半面にもうひとつ「情」の裏づけがあったによるのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)