堪能していられた時代の旅人の方が、遙かに、自然の恩恵をまことに浴したもので、また、諸国に温泉いでゆをひらいたという湯前ゆまえの神様——大己貴尊おおあなむちのみことの心にもかなうものでありましょう。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)