垂衣笠たれぎぬがさ)” の例文
眉目みめよい一少年を連れた路傍の垂衣笠たれぎぬがさの一女性を、高氏は、その晩、夢にもみたほどだった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから、いつぞやの垂衣笠たれぎぬがさは、人ちがいにちがいない。日ごろに抱いていた幻影がふと路傍のゆかりもない母子にかさなって見えた錯覚だろう。そう否みつつ忘れかけていたところなのだ。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)