口蓋こうがい)” の例文
いつ、どうして斬ったのか、唇にも歯にもふれず、左頬の内がわから、斜めうえに口蓋こうがいのほうへ、浅く斬れている。切尖きっさきがふれたわけではない。一種の気あい突き。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
松明たいまつ行列のようなものが、胃袋と口蓋こうがいのあいだを上ったり下ったりする。しかし、どうすることもできぬ。六千フィートぐらい降れば、石泉に行きあたるだろうと、たがいに慰め合った。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)