半身かたみ)” の例文
と云ううちに、店の天井からブラ下っていた鰤の半身かたみを引卸して、片手ナグリに箒売を土間へタタキ倒した。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鼻の先の天井裏からは荒縄で縛った生鰤ぶり半身かたみが、森閑とブラ下っているが、無い袖は振られぬ理窟で、五合桝を中に置いて涙ぐましく顔を見交しているところへ天なる哉
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その間に湊屋は黙って鰤の半身かたみを拾ってモトの天井の釘へブラ下げるのを、居酒屋の因業おやじが奥から見ていたらしい。イキナリ飛出して来て仁三郎の前に立ちはだかった。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)