なつかしい舊友の消息ではあるけれど、折角自分が勇猛精進ゆうみょうしょうじんの志を堅めて、随縁起行ずいえんきぎょうの功を積もうとして居るものを、不意に横あいから掻き乱そうとするのが、恨めしくもあり腹立たしくもあった。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)