出逢頭であひがしら)” の例文
「新さん、お前さんは可哀想だね。——聽いちや惡いと思つたけれど、出逢頭であひがしらで、逃げることも隱れることも出來ないんだもの、皆んな聽いて了つたよ」
ゆき子は出掛けようとして、路地の出逢頭であひがしらに、向うからほつほつやつて来る伊庭に会つた時は、初め、伊庭ではなく、伊庭の兄かと思つた。伊庭も吃驚びつくりしたやうだつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)