作品もの)” の例文
感興の逸せぬうちにと刻まれた作品もので、稍まだかたい實の青さに、赤みを交へ、もぎつた枝あとの、青い葉の影には、金色の小蜘蛛がかくれてゐる。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
あい染附の、大きな皿は、ルイ王朝時代のものを模した奴で、これは、戦後の作品ものではない。疎開して置いたものに違いない。この皿は、昔のまんまだ、少くとも、これだけは。
神戸 (新字新仮名) / 古川緑波(著)
劇作もなまけ、なんの見て頂くような作品ものも出来なかったので、先生を訪問することも大いに怠っていたが、去年からひそかなもくろみを心のなかで成長させていた。
古い暦:私と坪内先生 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
日本一の桃太郎は、桃の中から生れたといふ、それにもまさるめでたき作品ものを、生めよといふ祝言がはりに、ふとしも、こんな、蕪雜なものを書いてしまつた。多謝!
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
あまりに強くそれを現はしすぎた作品ものだとは思つたが、不思議と心をひかれてゐる。さうした表現のよしあしはとにかくとして、なにか、桃と人と傳説とを見つめてゐるものを受けとつたのだつた。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)