九体仏くたいぶつ)” の例文
僕はそういう二人の話を耳にはさみながら、九体仏くたいぶつをすっかり見おわると、堂のそとに出て、そこの縁さきから蓮池のほうをいっしょに眺めている二人の方へ近づいていった。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
うすぐらい堂のなかにずらりと並んでいる金色こんじき九体仏くたいぶつを一わたり見てしまうと、こんどは一つ一つ丹念にそれを見はじめている僕をそこに残して、妻はその寺の娘とともに堂のそとに出て
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)