昔語りにきく上也上人じょうやしょうにんの太平記ようの物にて見聞せし風情ふぜい、いま此身になりて、まことに風の前の燈火ともしび、葉ずえの露と争う命となり、日頃、よろずに就て深かりし慾を忘れ