鳥居清長が三枚続児女江之島詣さんまいつづきじじょえのしまもうでの図の背景の如きまた喜多川きたがわ歌麿が隅田川渡船すみだがわわたしぶねの如き即ちこれなり。時代の気運はようやく風俗画のほかに独立せる山水を要求するに至れるなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)