友人である医学士のF君が、オースチンを購入したので、案内車を先に立てながら富士の五湖をまはつて来ようと、或る晩わたしの部屋を訪れた。神経科の専攻であるF君は、かねがねわたしの病状については深い留意を払ひ、年来にわたつて投薬をつゞけてゐて呉れ …
| 著者 | 牧野信一 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
| 初出 | 「時事新報 第一八六六九号~第一八六七一号」時事新報社、1935(昭和10)年5月20日~22日 |
| 文字種別 | 新字旧仮名 |
| 読書目安時間 | 約9分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約14分(300文字/分) |