こい
五月末の或る晴れやかな日の午後四時頃、私は旧友N君と一緒に、帝国大学の中の大きな池の南側にある、小高いテラースの上の、藤棚の下の石のベンチに腰掛けていた。池の周囲には新緑の茂みが、むせ返るような明るい色に盛上っていたが、低い水の面は薄すらと …
題名が同じ作品
(新字新仮名)岡本綺堂 (著)
(新字旧仮名)斎藤茂吉 (著)