草の根元くさのねもと
五時に近い日差しが、ガラス窓にうす黄色くまどろんで居る。 さっきまで、上を向いて見ると、眼の底から涙のにじみ出すほど隈なくはれ渡って、碧い色をして居た空にいつの間にかモヤモヤした煤の様な雲が一杯になってしまって居る。 桜が咲きかけて居るのに …