帰省きせい
若夏の入江の西に、 萎ゆる帆を静かにたゝみ、 大船の錨なぐるや、 波止場には、吾かなつかしき 南国の男女のあまた、 すゝみよる、艀むかへぬ。 艀より人力車にうつり、 石原を、左右にゆれて、 店先の軒をたどれば、 かけつるす芭蕉実のかをり 夏 …