“勃然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぼつぜん64.9%
むっ14.0%
ぼつねん6.1%
むつ5.3%
むっく3.5%
むっくり1.8%
むつく1.8%
むッくり0.9%
むき0.9%
やつき0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
憮然ぶぜんとして痛嘆する孔明の呟きを聞くと、馬謖ばしょくは日頃の馴れた心を勃然ぼつぜんと呼び起して、その面にかっと血の色をみなぎらして叫んだ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最初は素知らぬ顔をしていたが、こっちの横顔をぬすむように窺いながら三、四間ほども付いて来るので、半七も勃然むっとして立ち停まった。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
黙然もくねんと聞く武男はれよとばかり下くちびるをかみつ。たちまち勃然ぼつねんと立ち上がって、病妻にもたらし帰りし貯林檎かこいりんごかごをみじんに踏み砕き
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「うむ、たえした挨拶あいさつだな、らまた※弟きやうでえつちやさうえもんぢやあんめえとおもつてたんだつけな」おつたはすこ勃然むつとした容子ようすせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うむとうなって、徳利を枕にごろんとなると、すべった徳利が勃然むっくと起き、弦光の頸窪ぼんのくぼはころんと辷って、畳のへりで頭を抱える。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まず朝勃然むっくり起る、弁当を背負しょわせて学校へだしる、帰ッて来る、直ちに傍近の私塾へ通わせると言うのだから、あけしい間がない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
殺す心の其方そなさんもなさないぞや恨めしやと勃然むつくと立てば三次は驚きヤア/\姉御あねご此私このわし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、折柄おりから絶入るように啼入るいぬの声に、私は我知らず勃然むッくり起上ったが、何だか一人では可怕おッかないような気がして
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
うまく仰しやる、内々心当りがあるくせに空惚そらとぼけてゐる子。はツはツ、大分勃然むきになつて顔を赤くするナ。そんなら俺が気に入つて嬢様に周旋とりもたうといふ資格を話して聞かせやうか。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
兩端に申立るでう不屆至極なりと勃然やつきとなりて怒るにぞ九助は二言と返答へんたふもせず居たりしかば理左衞門は家老中へむか此期このごに及んで斯の如きの始末しまつ言語同斷の曲者くせものゆゑ彌々いよ/\今日御所刑しおきに行ひ然るべしと申時主計かずへ點頭うなづき如何いか御法ごはふの如く申渡て宜からんと云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)