たこ)” の例文
「こちらのほうは、すこしたこうございます。こちらのほうは、すこしやすうございます。」と、おじいさんはいって、「しあわせ人形にんぎょう」と
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほんま言うたら、六十円でもやって行かれしまへんネん。子供がきが二人も居よりまんネん。きょう物がたこおまっさかいな」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
伊波伝毛乃記いわでものき』といふものあり。これ曲亭馬琴きょくていばきんあんに人をそしりておのれをたこうせんがために書きたるものなりとか。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「こゝはたこてあきまへん。あちらにどつさりいい所がおますよつて、そこでお買ひやす。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
親戚にもみんな見放されてしまったのでね。ところが、あれは気位がたこうがした。
日比谷ひびやに桜田赤龍子せきりゅうしという、人相の名人があるんですがね、実によくあたりますよ。何しろぴたりと前へ坐ったばかりで、その人の運勢がすっかりわかるんですからね。その代り見料は少したこござんすよ。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「あて、姉ちゃんにあんまり御無沙汰してしもて、悪いとは思ててんけど、あれからあとにいろいろな事あったりして、……それに姉ちゃんあの晩の事どない思てはるねんやろ、きっと腹立ててはれへんやろか思たら、ついしきいたこなってしもて、……」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)