餓死うえじに)” の例文
くださりませ。私は今日で十日というもの米一粒も食べませぬ。はすの実一つ食べませぬ。私は餓死うえじにいたします。どうぞお助けくださりませ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
町「たとえ此の山奥で餓死うえじにするとも野天のでんで自殺は後日の物笑い、何者のすまいかは知らぬが、少々おえんを拝借いたします、南無阿弥陀仏/\」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
育児院は、ナニ、養生をしてるので、私等わたしどもは九死一生、餓死うえじに凍死こごえじにをしようとする大病人、ちょいとそれ繰廻くりまわしを附けて下すってもかろうと思いましてね。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「でも、私は餓死うえじにするほどじゃアないわ。」そういって、セエラは五つ目のパンを下に置きました。
「すると、わたしを餓死うえじにさせる気だったんだね。呂宋兵衛るそんべえさま、とにかく早くだしてくださいまし」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、不平で学校を飛出しながら校長の恩にすがるような所為まね餓死うえじにしても二葉亭には出来なかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
餓死うえじにをした人の話が出ていたが、その人は水を飲でいたばかりに永く死切れなかったという。
「フフ……、罠にかかった猟師だね、君は。散々人を苦しめた報いだ。あきらめるがいい。じゃ、二三日我慢してくれ給え。ひもじいだろうが餓死うえじにする様なことはありやしない。あばよ」
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
食すべき「たのみ」のえさがないから、蛇奴も餓死うえじにに死んでしまいもしようが、なまじいの花くだし五月雨さみだれのふるでもなくふらぬでもなく、生殺なまごろしにされるだけに蛇奴も苦しさに堪えねてか
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
細工が過ぎて親分に見現わされた、——口惜しいが仕方がない。サア、縛ってくれ、磔刑はりつけにでも火焙ひあぶりにでもしてくれ、——その代り、万一俺の母親が餓死うえじにするようなことがあったら、俺は死んだってお前達を
餓死うえじにしようとしたことがありました。
山畠やまばたけにかけがえのない、稲がくさっては、餓死うえじにでござりまする、総領のわしは、一番の働手はたらきて、こうしてはおられませぬから、とことわりをいって、やれ泣くでねえぞ
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今頃何処どこうしておいでなさるやら、但しは山賊のためにお果てなされしか、わたくしは不幸にもかる深山みやまに流浪の身、一粒の米もなければ居所もなし、此の儘餓死うえじにいたすでございましょう
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「この子は、私よりもひもじいのだわ。この子は餓死うえじにしそうなのだわ。」
わざわざ城下へ出て行って、生命いのち握飯むすびとかいうものを、餓死うえじにしそうな人達へ振る舞ってやるということじゃ。それで城下の馬鹿どもはお前を如来の産まれ変わりだのぼとけだのと云うそうじゃ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あなた方武士たちは、斬って出て、ざまもお心のまま選ぶことができましょうが、傷者、病人、また三千余の領民を共に餓死うえじにさせるは、無情の至りです。私義しぎにこだわって大義なきものです。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとへ帰るか、倶利伽羅峠くりからとうげ出抜でぬけますれば、無事に何方どちらか国へ帰られます。それでなくって、無理に先へ参りますと、終局しまいには草一条くさひとすじも生えません焼山やけやまになって、餓死うえじにをするそうでございます。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
餓死うえじにしたのでございますかな」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)