ひもじ)” の例文
食えない学校を卒業して、兎にも角にもひもじい思いはしないのだからい。万事諦めている。しかし、せめてものことに、後世を益したい。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
娘が来て世話をするまで、わしには衣服きものを着せる才覚もない。暑い時節じゃで、何ともなかろが、さぞひもじかろうで、これでも食わっしゃれって。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『チヨツうるさ畜生ちきしやうだね。いくら啼いたつて、もううちにや米なんざ一粒だつて有りやしないよ。お前よりか、此方こつち餘程よつぽどひもじいや。』と呶鳴どなりながら、火鉢と三味線の外、なんにもないうへへ上つて行く。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「おひもじいところを御飯を上げませんでは、さぞおつらうございませう」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
支度したくはして来たってもひもじい思いもせず、そのあおい花の咲く草を捜さなけりゃならんほどかわく思いをするでもなし、勿論もちろんこの先どんな難儀に逢おうも知れんが、それだって
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前にひもじい思を為せるやうな、そんな意気地いくぢの無い男でもない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「お前達にひもじい思いはさせないよ」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)