おと)” の例文
障子が段々だんだんまぶしくなって、時々吃驚びっくりする様な大きなおとをさしてドサリどうと雪が落ちる。机のそばでは真鍮しんちゅう薬鑵やかんがチン/\云って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
聞くともなくそのおとに耳を仮して、目は窓に向かえば、吹きしぶく雨淋漓りんりとしてガラスにしたたり、しとどぬれたる夕暮れの庭はまだらに現われてまた消えつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
人の声、車のおと、電燈、洋燈らんぷの光、賑やかで、眩しくて、美しくて、良平はきもを潰した。眼前には巍々堂々ぎぎどうどうたる洋館、仙台ホテル、陸奥ホテル、和風では針久、大泉、其他数知らぬ旅館がある。
腰硝子こしがらすの障子を立てたきり、此座敷に雨戸はなかった。二つともした燭台しょくだいの百目蝋燭の火はまたたかぬが、白い障子越しに颯々さあさあと云う川瀬のおとが寒い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
橋場の渡しのほとりなるとある水荘の門に山木兵造やまきひょうぞう別邸とあるを見ずば、なにがし待合まちあいかと思わるべき家作やづくりの、しかも音締ねじめのおとしめやかに婀娜あだめきたる島田の障子しょうじに映るか
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
遙向うの青山街道にくるまきしおとがするのを見れば、先発の荷馬車が今まさに来つゝあるのであった。人と荷物は両花道りょうはなみちから草葺の孤屋ひとつやに乗り込んだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いずくにか、車井くるまいおとからからとたまをまろばすように聞こえしが、またやみぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)