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釣殿
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つりどの
ふりがな文庫
“
釣殿
(
つりどの
)” の例文
暮れかかるころに「
皇麞
(
こうじょう
)
」という楽の吹奏が波を渡ってきて、人々の船は歓楽陶酔の中に岸へ着き、設けられた
釣殿
(
つりどの
)
の休息所へはいった。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それから、京極の宿所の
釣殿
(
つりどの
)
や、鹿ヶ谷の山荘の
泉石
(
せんせき
)
のたたずまいなどが、
髣髴
(
ほうふつ
)
として思い出される。都会生活に対するあこがれが心を
爛
(
ただ
)
らせる。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「小舎人、小舎人。……おん内庭の御門をひらき、
釣殿
(
つりどの
)
のおん前へ、遠国の客人が、お館へ献上の馬を、曳いて見せいとの仰せであるぞ。——その、用意な急ぎ候え」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊豆守仲綱も、激戦のすえ体に多くの傷手を負うと平等院の
釣殿
(
つりどの
)
で自害した。その首を打った下河辺藤三郎清親は、敵の手に入らぬようにと大床の下へ投げ込んでかくした。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
移し植えたあやめはとうに花をちぢらせ、
釣殿
(
つりどの
)
近く
鶯
(
うぐいす
)
の声が老いて行っても、二人の男は通いつづめた。父の
基経
(
もとつね
)
は永い間、ほとんど耐えかねていたように、
或
(
あ
)
る日、橘を呼んでいった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
夏の頃水無瀬殿の
釣殿
(
つりどの
)
にいでさせ給ひて、ひ水めして
水飯
(
すいはん
)
やうのものなど若き
上達部
(
かんだちめ
)
殿上人
(
てんじょうびと
)
どもにたまはさせておほみきまゐるついでにもあはれいにしへの紫式部こそはいみじくありけれ
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
炎暑の日に源氏は東の
釣殿
(
つりどの
)
へ出て涼んでいた。子息の中将が侍しているほかに、親しい殿上役人も数人席にいた。
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
布を投げたような曲線が、
釣殿
(
つりどの
)
の
床下
(
ゆかした
)
をとおり抜け、せんかんたる小川の末は、東の対ノ屋の庭さきから、さらに
木立
(
こだち
)
をぬい、
竹林
(
ちくりん
)
の根を洗って、邸外へ落ちてゆく。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たいへんな風力でございます。北東から来るのでございますから、こちらはいくぶんよろしいわけでございます。馬場殿と南の
釣殿
(
つりどの
)
などは危険に思われます」
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いちど、
西廂
(
にしびさし
)
から
釣殿
(
つりどの
)
までを
雷鳴
(
かみなり
)
のように暴れ廻っていた高時は、やがてまた、とって返して
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日の楽人三十人は
白襲
(
しろがさね
)
であった。南東の
釣殿
(
つりどの
)
へ続いた廊の
室
(
へや
)
を奏楽室にして、山の南のほうから舞い人が前庭へ現われて来る間は「
仙遊霞
(
せんゆうか
)
」という楽が奏されていた。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
通されたのは一亭の
釣殿
(
つりどの
)
で、かたのごとく
酒肴
(
しゅこう
)
は出たが、道誉好みの茶を
強
(
し
)
いるでもなく
立花
(
りっか
)
自慢や
田楽舞
(
でんがくまい
)
の馳走でもないらしい。いつまでもそこはあるじの道誉とただ二人だけの秋の静夜だった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日退出する僧の一人に必ず言っておく用で
釣殿
(
つりどの
)
のほうへ行ってみたが、もう僧たちは退散したあとで、だれもいなかったから、池の見えるほうへ行ってしばらく休息したあとで
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と言って、
御簾
(
みす
)
の中に隠れて見ていた。式場の席が足りないために、あとから来て帰って行こうとする大学生のあるのを聞いて、源氏はその人々を別に
釣殿
(
つりどの
)
のほうでもてなした。贈り物もした。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
東の
釣殿
(
つりどの
)
へはこちらの若い女房が集められてあった。
竜頭鷁首
(
りゅうとうげきしゅ
)
の船はすっかり唐風に装われてあって、
梶取
(
かじと
)
り、
棹取
(
さおと
)
りの
童侍
(
わらわざむらい
)
は髪を耳の上でみずらに結わせて、これも
支那
(
しな
)
風の小童に仕立ててあった。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
釣
常用漢字
中学
部首:⾦
11画
殿
常用漢字
中学
部首:⽎
13画
“釣”で始まる語句
釣
釣瓶
釣竿
釣合
釣魚
釣鐘
釣棹
釣銭
釣針
釣台