金華山きんかざん)” の例文
左舷の遥かに金華山きんかざんらしいのが眺められたが、航路というものは、海岸線には添いつつも、なかなかに近くへは寄れないと思えて
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
尻屋しりやの燈台、金華山きんかざんの燈台、釜石かまいし沖、犬吠いぬぼう沖、勝浦かつうら沖、観音崎かんのんざき浦賀うらが、と通って来た。そして今本牧ほんもく沖を静かに左舷さげんにながめて進んだ。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
金華山きんかざんおきのたいは、目の下一尺もあって、値がただみたようで、いいおさかなですことの、なんのかんのと、えらいお世話です。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すると、道補の実弟に、奥州金華山きんかざんの住職をしている人があって、是非私をもらいたいといい込んで来ました。
また宮城県の漁師の話だというのは、金華山きんかざんの沖でとれる鰹魚かつおは、必ず左の眼が小さいか、潰れている。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その三は、大正二年の九月、仙台せんだい塩竃しおがまから金華山きんかざん参詣の小蒸汽船に乗って行って、島内の社務所に一泊した夜である。午後十時頃から山もくずれるような大雷雨となった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
東京湾を出抜けると、黒潮に乗って、金華山きんかざん沖あたりからは航路を東北に向けて、まっしぐらに緯度をのぼって行くので、気温は二日ふつか目あたりから目立って涼しくなって行った。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
犬吠埼いぬぼうさきから金華山きんかざん沖の燈台を離れると、北海名物の霧がグングン深くなって行く。汽笛を矢鱈やたらに吹くので汽鑵きかん圧力計ゲージがナカナカ上らない。速力も半減で、能率の不経済な事おびただしい。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おい、松兄哥あにい垢離場こりばの高物小屋へ仙台の金華山きんかざんから鯨が泳ぎついたそうだ」
名にし負う塩釜しおがま神社に近く、右手の沖は、鮎川のながれを受ける金華山きんかざん
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
べつの名を「金華山きんかざん」とも呼ぶように、まるで錦の崖だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金華山きんかざんは登り二十余町、さのみ嶮峻けんしゅんな山ではない、むしろ美しい青い山である。しかも茫々たる大海のうちに屹立きつりつしているので、その眼界はすこぶるひろい、眺望雄大と云ってよい。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
例えば奥州金華山きんかざんの権現は、山と土が草鞋について、島から外へ出ることを惜しまれるということで、参詣した者は、必ずそれをぬぎ捨ててから船に乗りました。(笈埃随筆。宮城県牡鹿おじか郡鮎川村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
金華山きんかざんの上のお城を見た。稲葉山の城である。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしも松島まつしま記念大会に招かれて、仙台、塩竈しおがま、松島、金華山きんかざんなどを四日間巡回した旅行中の見聞を、手当り次第に書きなぐるにあたって、この五色筆の名をちょっと借用することにした。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)