足繁あししげ)” の例文
『何もまだ、考えておりません。とかく、人の口端くちははうるそうござる。足繁あししげく宅へお遊びに来られる事なども、お互の為、暫く、おつつしみくださらぬか』
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文一郎はすこぶ姿貌しぼうがあって、心みずからこれをたのんでいた。当時吉原よしわら狎妓こうぎの許に足繁あししげく通って、遂に夫婦のちかいをした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何のために、かくまで足繁あししげく金田邸へ通うのかと不審を起すならその前にちょっと人間に反問したい事がある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんなわけで、私はその頃から、かなり足繁あししげく彼の家に出入りするようになりました。せめては彼の行動を、監視なりともしていようという心持だったのです。
鏡地獄 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こんな事があってから後、彼女はますます足繁あししげく出入するようになりました。夕方会社から帰って来ると
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そのころ半年はんとしあまり足繁あししげかよつてくるおきやくなかで、電話でんわ周旋屋しうせんやをしてゐる田中たなかをとこが、行末ゆくすゑ表向おもてむ正妻せいさいにするとふはなしに、はじめはそのをとこのアパートに
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
神中が就職口を頼んである知人のなかに、銀行にいる知人はひどく神中の境遇に同情して、己のことのように世話してくれるので、神中も自然とその知人の処へ足繁あししげく出かけて往くのであった。
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
併し私は病院のほかに辰夫の家庭へも足繁あししげく通わねばならなかった。
(新字新仮名) / 坂口安吾(著)
院長いんちょうが六号室ごうしつ足繁あししげ訪問ほうもんしたとの風評ひょうばん
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)