うん)” の例文
すこしらしてやれ——意地悪も手つだって、すったもんだ、なかなかうんと言わないから、山城守は引っ込みがつかないで往生している。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
外見はちょっとこわらしいが、これも案外親切ものでね。お前さんさえうんといったらそれこそ二人で可愛がって、堪能させるのは受け合いだ。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
源七にむかって、なんでもいから是非刺青ほりものをしてくれと頼んだのですが、老爺じいさんも素直にうんとは云わなかったそうです。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お前があゝ云う気性だから仕方がねえ、よう後生だ、ようそれで連れて来たんだ、私が困るからうんと云って、よう後生だから諾と云って呉んねえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
阿波の殿様がそれを見て、自分の秘蔵のすゞり七枚までも出すから、取り替ては呉れまいかとの談話はなしがあつたが、鶴笑はなか/\うんとは言はなかつた。
硯と殿様 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
彼は『われわれが總がかりになれば、あの胴慾野郎をうんといわせることもできそうなものだな』と空想したのである
尤も余の叔父は人が願えば何事でもうん、諾と答える極めて人好しゆえ此の様な約束にも同意したのであろう
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
けど秋山少尉は考えておきますと、そういうだけで、何遍話をしてもうんといわない。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
うんと言えよ。芝居へ行ってくれ。僕の頼みだ。いやとは言えまい。」
念を入れて、やがてうんと云わせて
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さ「お村や、うんとお云いよ、有難い事だ、姉さんが何とか、日光にっこう御社参ごしゃさんとかいうお方が妾になれと仰しゃるのは有り難い事だから、諾とお云いよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
阿波の殿様がそれを見て、自分の秘蔵のすゞり七枚までも出すから、取り替ては呉れまいかとの談話はなしがあつたが、鶴笑はなか/\うんとは言はなかつた。
ややありて五右衛門は「うん」と云った。「俺はいつぞや秀吉の襟へ、小柄を縫い付けたことがある。つまり、なんだ、その小柄を、今度は深目に刺すばかりだ」
五右衛門と新左 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
イヤ其の人がうんと承諾しさえすれば、誰が何と云ったとて秀子をどうする事も出来ません。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
この鍾繇が先輩の韋誕といふ男に、蔡邕さいようの筆法を訊きに往つた事があつた。すると韋誕はそれを惜んでうしてもうんと言つて教へて呉れなかつた。
月「お村はん、今おっかはんに三浦屋の御舎さんの事を話したのだが、うんとさえ云えば大した事になるのだよ、さぞ此間こないだからお前に種々いろ/\な事を云うだろうね」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「なあにあなたさえうんと云ったらそこは日頃の仁徳です、誰が何んと云いますものか」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
第三に主人の心の臓が欲しかつたが、そんなものは主人がなかなか「うん」と言ひさうになかつた。で、早速花聟のとこへ駆けつけて相談する事にした。
当人が承諾しなければ自儘じまゝに人身売買をしてはならん。ところでお部屋からは噛んでふくめるように花里へ説諭せつゆしますが、何うしてもうんとは申しません。
「といって私は是非出したい。……あなたさえうんといってくれたら」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
て伊之助でございますが、お若さんが連れて逃げてくれろと申しましたを、義理だてをして捗々はか/″\しく相談に乗らないところから、男をうんといわする奥の手をだし
「ナーニ私はうんと云います。がどうでしょう幸四郎ごだいめが?」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
懸合かけあつてみるが、姥さんはなか/\うんと言はなかつた。
とは申しますものゝそっと楼主の顔をみますれば、なんとなくおだやかでない、幾度いくたびとなく身請のことを口を酸ッぱくして諭しても、花里はうんと申さないかられているんで。
「悪いことは云わぬ、うんと云いな」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あんまい口だから、いやでもあろうがうんとさえ云えばたいした事に成るのだから話をして見るんです
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
相「孝助殿はよろしい、貴方あなたさえうんと仰しゃって下さればそれで宜しい」