誘拐かどわかし)” の例文
「あの誘拐かどわかしなら、俺の方じゃもう検挙あげるばかりになっているんだ。満更まんざら知らねえ顔でもない兄哥に恥を掻かせるでもないと思ってね」
「かえすがえすも不幸な身の上、はてこれは困ったことだ」頼正はその眼をひそめたが、「ところで誘拐かどわかしの人買いは今どこに何をしておるぞ?」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たくみをして誘拐かどわかしをしようという人と、どちらが白いか黒いか、そういうお方に見てもらおうじゃありませんか
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
放火つけび殺人ひとごろし誘拐かどわかし、詐欺——と云ったような荒っぽいことを、日常茶飯事といたしている、極めて善良な正直者たちで」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三日と請合った日は今日限りとなりましたが、どこへどう隠されたか、お雛の在処ありかを嗅ぎ出す手掛りも、その誘拐かどわかしの悪者の当ても付かないのです。
通して当家様へお預け申した人、いくら高利貸が御商売でも、誘拐かどわかしまでなさるんじゃございますまいね
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ご定法によってのお捕り物、そうか否かがわからねえような、そんなヤクザの俺らと思うか! 誘拐かどわかしも誘拐、質の悪い、悪い悪い誘拐だア!」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その中で、怪我人が三人、誘拐かどわかしが一人、られた金は五百両あまり、何しろ意地が悪くて、賢くて、残酷で、敏捷で、手の付けようのない曲者くせものです。
「何を言ってやがるんだい、誘拐かどわかしめ、ぐずぐず言わずに娘をお出しよ、出さないとためにならないよ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
解ったかい、石原の、おねげえだから、その縄を解いて俺に渡してくれ。あの悪戯者いたずらもの誘拐かどわかしの悪者は、俺がキッと探し出して、お前の手柄にさしてやる
不穏の言説を注ぎ込むかと思うと、他方田舎や農村へ入っては、一揆を起こさせたり指揮したりし、もっと下がったやからになると押し借り強請ゆすり誘拐かどわかしまでやる
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
えッ、黙らないか、武士に向って誘拐かどわかしとは何だ。——借金の抵当かたに、今晩は拙者が直々じきじきれ帰り、内祝言ないしゅうげんを済ませて、宿の妻にするに何の不思議だ。
「ようがす、やりやしょう、合点だ! ……誘拐かどわかしと来ちゃアこっちの領分、まして高萩のお身内衆のお頼み恐れるところはありゃアしねえ。それ行け、ワ——ッ」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「——神田の平次が来て、下手人の目星が付いたそうだから、明日は伊太郎照吉殺しも、お夏と清次郎の誘拐かどわかし野郎も縛られるに違いないとこう言うんだ」
誘拐かどわかしめ!」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
如何いかなる物——とは読んで字のごとく物だ。その辺のたるでもかめでも古下駄でも持って行くがいい。人間を連れて行くのは誘拐かどわかしも同様ではないか、痴呆奴たわけめ
別に誘拐かどわかしの確証があるわけではないので、与力同心の出役はありません。十手を預かる銭形平次が、見込みで召捕って、証拠を突き付けて口を開かせるつもり。
その娘はかねがね拙者所望の品だ。六百五十両の代りに貰って行くのが、誘拐かどわかし同様とは何という言い草だ
「というと、誘拐かどわかしは継母のお滝ではないというように聞えるが、確かにそういった見込みでもあるのか」
巾着切きんちゃくきり上がりの弟子の滝松というのを使って、近所でかっ払い、こそ泥、誘拐かどわかしを働かせ、そのった物やさらった子供を隠しておいて、人相や占いの客が来ると
盃は幾巡いくまわりかして、さんざめく一座、誘拐かどわかしも何も忘れてしまって、だいぶいい心持になって来ましたが、どうしたことか、しばらく経っても、お静の姿が見えません。
盃は幾巡いくまわりかして、さんざめく一座、誘拐かどわかしも何も忘れてしまって、だいぶいい心持になって来ましたが、どうしたことか、しばらく経っても、お静の姿が見えません。
しかし、七人の花嫁誘拐かどわかしの手口は、ことごとく周到な用意と、長い間の計画でやったことで、偶然の廻り合せで、行当りばったりな仕事でないことはよくわかっております。
しかし、七人の花嫁誘拐かどわかしの手口は、ことごとく周到な用意と、長い間の計画でやったことで、偶然の廻り合せで、行当りばったりな仕事でないことはよくわかっております。
「ところが巴屋の旦那、世の中には良いことばかりはないもので、こんな結構なことのある本所深川に、近頃若い女の誘拐かどわかし流行はやるのには困ったものじゃありませんか」
先刻さっき三輪みのわの万七親分が来て誘拐かどわかしの疑いがあるとかおっしゃって、旦那に縄を打ってれて行きましたよ、——番頭さんも三人縛られましたが、どんな御用でしょう」
「いいてえことよ、誰も八五郎を誘拐かどわかし曲者くせものだと言う気遣きづけえはねえ」
「八、また誘拐かどわかしらしいぜ」
誘拐かどわかしかな」