ゴト)” の例文
のりとは、先輩説の如く、のりときゴトでもなかつた。のりたべごとでもなかつた。天津詔刀乃太詔刀などといふ宛字は、語原の他にあることを暗示したものゝ様に見える。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ゴトを憎まざらむと思へれば、もの言ひ止めて、せまり来るさびしさ
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
のりとき言でも、のりたべごとでも、又直観的に言はれるゴトの略でも何でもないのである。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
祝詞の名は、奈良に入つて出来たもので、唯此までもあつた「」なる神事の座で唱へる「のりとゴト」に限つての名が、漸くすべての呪言の上におし拡められて来たのである。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
神宮司庁の大麻暦タイマレキさへ忘れた様な古暦のくりゴトも、地震の年をゆり返した様な寂しい春のつれ/″\を、も一つカヘして、常世の国の初だよりの吉兆を言ひ立てる事になるかも知れない。
若水の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
所謂「天つ祝詞の太のりとゴト」と云ふ語を、最本格式な語として追窮して行き度い。とは、古代信仰に於ける儀礼の様式或は、其設備を意味する語で、結局は座と云ふ事になるらしい。
だから、のりとごとはのりとなる語の原形で、とにコトの聯想が加はつた為に、のりとゴトの言を略するに至つたものと思ふ。だから、祝詞自身、天子及び天つ神の所属であることは明らかだ。
其くどきゴトらしい低調が、別にある風情を見せてゐる。だが其かと言つて、其が此歌をよくして居るのでは、決してない。此低調は到底、国を憂ふるますら雄の歎きをこめたものとは感ぜられない。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
生御魂イキミタマの「おめでたゴト」と一つ事であつた。
アマつのりとのフトのりとゴト
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)