みっ)” の例文
政江の周囲には予防注射をすら怖れるようなみっともない人間ばかりが集っている。この事実がいつも政江を必要以上に勇気づけるのだった。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
善「働きいったってもあんまみっともない、それに跣足はだしで歩くのは止せよ、草履を穿きな、し踏抜きでもして三日も四日も休むようではいかんよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「何だ、みっともない、ひるてんの飛びっことは。テニスだよ、テニスと言えばい。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
弓のようにってのびをしながら、大きな口をアングリいてあくびをする所なぞは、が眼にもあんまりみっとも好くもなかったから、父は始終厭な犬だ厭な犬だと言って私を厭がらせたが
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いくらカイザル鬚がコレラ病のように流行はやったって、あれではっとカイザリ過ぎる。其も太いのなら兎も角だが、細いのが五六本ピンと蜻蛉とんぼ返りをしているのは決してみっとも好いものでない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『知らぬ菌蕈なば喰うて死んだ奴と鰒喰うて死んだ奴が一番、みっともないナア』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
老「泣くな/\泣いたって致し方がないから此処へ出ろ、泣いたって何うなるものか、みっともない、声を出して泣くなんて男らしくもない、何んだ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
月「まアしずかにおしよ、世間へ聞えるとみっともない、お村はんは私がとっくり意見をして得心させるから私にお任せよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)