見開みひら)” の例文
すると、老婆は、見開みひらいてゐた眼を、一層大そうおほきくして、ぢつとその下人のかほを見守つた。眶の赤くなつた、肉食鳥のやうな、するどい眼で見たのである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
茶色ちゃいろかみをかぶったようなおとこ人形にんぎょうで、それをかせばをつぶり、こせばぱっちりと可愛かわい見開みひらいた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
やはらげられ白状するとは神妙しんめうの至りなりと申さるゝに長庵見開みひらき御奉行越前守殿にえきも無く御骨おほね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はゝ親心附おやごゝろづけれどもなんこととも聞分きゝわけぬとおぼしく、見開みひらきながらくうながめて、あれ奇麗きれいてふてふがとひかけしが、ころしてはいけませんよ、兄樣にいさん兄樣にいさんこゑかぎりにべば、こらうした
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
福鼠ふくねずみしづかに見開みひらき、『ねむつちやない』と咳嗄しはがれた脾弱ひよわこゑ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)