菜根譚さいこんたん)” の例文
かう方面はうめん趣味しゆみのない宗助そうすけは、もとより菜根譚さいこんたん何物なにものなるかをらなかつた。あるひとくるま腰掛こしかけひざならべてつたとき、それはなんだといてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「これ見や、捕物同心が、やしきで菜根譚さいこんたんを読んでいる。……暇だの」
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
僕のしばしば引用する『菜根譚さいこんたん』には
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
宗助そうすけ一封いつぷう紹介状せうかいじやうふところにして山門さんもんはひつた。かれはこれを同僚どうれう知人ちじんなにがしからた。その同僚どうれう役所やくしよ徃復わうふくに、電車でんしやなか洋服やうふく隱袋かくしから菜根譚さいこんたんしてをとこであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
僕のたびたび引用する『菜根譚さいこんたん』に
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
宗助そうすけは一封の紹介状をふところにして山門さんもんを入った。彼はこれを同僚の知人のなにがしから得た。その同僚は役所の往復に、電車の中で洋服の隠袋かくしから菜根譚さいこんたんを出して読む男であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
菜根譚さいこんたんをとこはたゞうですうまきましたかとたづねた。宗助そうすけこのとひにも大分だいぶいたおもひをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
中には少しせたようですねと云うものもあった。宗助にはそれが無意識の冷評の意味に聞えた。菜根譚さいこんたんを読む男はただどうですうまく行きましたかと尋ねた。宗助はこの問にもだいぶ痛い思をした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)