荒神様こうじんさま)” の例文
ドコの荒神様こうじんさまを信心すれば金談がまとまるとか、ドコの聖天様しょうてんさまは縁結びにあらたかだということは、江戸府内ならば大抵は暗記していて
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
若いしゅ、板の間に手をかけて、分別ありそうに、傾いた。白いのを着た姿は、前門の虎に対して、荒神様こうじんさま御前立おまえだてかと頼母たのもしく見えたので。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とことん、とことん、とんことんとん、と拍子でもとっているように仕事場でたるを叩く音が太鼓たいこのように地続きの荒神様こうじんさまの森へひびきわたる。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
マンは、釜をきれいに洗って拭き、台所の一角にある、「荒神様こうじんさま」の神棚に供えた。菜種油なたねあぶらの入っている土器かわらけに、燈心とうしんをかきたてて、マッチで、火をつけた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ところが先方にも荒神様こうじんさまが付いていない訳ではなくて、チャント隠しじるしのあることには気が付かなかったのである。こういうイキサツだから何時いつまでっても売れない。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
荒神様こうじんさまのお使いのように、お杉はだまって上座へ坐った。おぎんのあいさつを鷹揚おうようにうけて、すぐ
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのそばすすけた柱にった荒神様こうじんさまのおふだなぞ、一体に汚らしく乱雑に見える周囲の道具立どうぐだて相俟あいまって、草双紙くさぞうしに見るような何という果敢はかな佗住居わびずまいの情調、また哥沢うたざわの節廻しに唄い古されたような
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なんといっても家がぺっちゃんこになったソンキの家が被害ひがいの第一番だとみんながいうので、つぎには荒神様こうじんさまの上にあるソンキの家へむかった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
道庵一流の論法でおしきったはいいが、この案が通過すると共に、路傍の稲荷いなり荒神様こうじんさまにまで、いちいち幣帛へいはくを奉って行くから、その手数のかかること。気の短い同行の米友がかなりの迷惑です。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
荒神様こうじんさまの怖ろしいたたりがあるのでござんしてな
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)