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えいまい
ふりがな文庫
“
英邁
(
えいまい
)” の例文
とりわけ、近世の歴代中でも、比類なき
英邁
(
えいまい
)
な質をもってお生れあったという
今上
(
きんじょう
)
後醍醐とすれば、
切歯
(
せっし
)
のおちかいも、当然なわけで
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天平期の完成に伴う諸弊害を一掃せられた
英邁
(
えいまい
)
な桓武天皇の平安遷都前後にあたってもう一度人心は粛然として真剣の気を取りもどした。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
その上、為世の女(贈従三位
為子
(
いし
)
)は後醍醐天皇の側近に侍し、その腹に
尊良
(
たかなが
)
親王・
宗良
(
むねなが
)
親王のような
英邁
(
えいまい
)
の皇子がお生れになっている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
この
英邁
(
えいまい
)
な資性にもかかわらずですね——僕は『かかわらず』と言うのですよ——この男は完全に
無瑕瑾
(
むきず
)
というわけじゃない。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
彼の友勝海舟彼を評して曰く、「先生博学多識、文武を兼ぬ、末技小芸といえども、
通暁
(
つうぎょう
)
せざるなし。
為人
(
ひととなり
)
英邁
(
えいまい
)
不群
(
ふぐん
)
、一見その偉人たるを知る」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
紀州大納言頼宣卿などが、その
英邁
(
えいまい
)
のご気質をもって、何気ないように取り計らって、戦備を施こしてくだされたなら、一番無難で好都合なのだが。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
仏教修行のためかつはチベット文字を
拵
(
こしら
)
えるために、天資
英邁
(
えいまい
)
の人を撰んで十六人インドへ送ったのでございます。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼の
英邁
(
えいまい
)
奇行は道具立ての
小細工
(
こざいく
)
たるを見て
可笑
(
おか
)
しくなった。彼はその知れる限りの最美を尽しておらぬ。むしろ彼の最悪の行儀をなしていたのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
この
可憐
(
かれん
)
な美少年があのカパディア氏からたびたび聞かされていた
英邁
(
えいまい
)
なナリン
殿下
(
クマール
)
であろうか? この美しい少年が? 私は混乱し切った頭でもう一度不思議そうに私を
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
即ち剛毅
英邁
(
えいまい
)
の君であらせられたことがわかるが、同時に激しき熱情と、またその影のごとく深き
憂
(
うれ
)
いを伴うておられたことは、万葉集の名歌によっても明らかであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
揃えて、天下の処理にあたるのだと、主人も申しおりました。……上に
英邁
(
えいまい
)
なみかどをいただき、新しい世づくりのためにだ、と
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後嵯峨天皇は
英邁
(
えいまい
)
であらせられたが、幕府の力で即位されたので、関東に対し
御謙遜
(
ごけんそん
)
になっておった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
お年は若くても私共の太子殿下は、印度各王国中で一番
英邁
(
えいまい
)
なお方として従前から隠れもない評判のお方でしたが、私が感じましたのは、そうした非常の際の太子殿下のお姿だったのです。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
英邁
(
えいまい
)
ではあらせられるが、一面のご気性には、周囲の虚勢、排他、利害などの私心に
乗
(
じょう
)
じられるおそれも多分にないではない。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——曹将軍の
英邁
(
えいまい
)
はかねて知っているが、さりとて、一日でも主とたのんだ人を首として、降服して出る気にはなれん」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、雪さえ降るに、
御簾
(
ぎょれん
)
の内、
明
(
あき
)
らけくはなかったが、笛の座につかれたみ姿の線、おのずからな御威容、さすがはと拝せられ、世上、しきりに新帝の
英邁
(
えいまい
)
を
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何人
(
なんぴと
)
でも、真実と
英邁
(
えいまい
)
と明らかな指導をもって、われに従えと呼号すれば、それが国家の大道と知る以上、こぞって、その指のさす所へ
従
(
つ
)
いて行きたがっている。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
阿波二十五万石の蜂須賀
重喜
(
しげよし
)
、まだ若くはあるが
英邁
(
えいまい
)
な気質、うちに勤王の思想を包み、
家士
(
かし
)
の
研学隆武
(
けんがくりゅうぶ
)
にも
怠
(
おこた
)
りがない、——
前
(
さき
)
には式部を密かに招いて説を聞き
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木曾どのの
旗挙
(
はたあ
)
げにくみして、大いに志を
展
(
の
)
べようとしたものですが、義仲公は時代の破壊者としては
英邁
(
えいまい
)
な人でしたが、新しい時代の建設者ではなかったのです。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身分上、信孝こそ主将たるべきだが、この軍には出おくれて来たし、戦陣に立っても果断、
英邁
(
えいまい
)
、ともに欠けていることは、全軍の諸将もみな認めているところだった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その点が、
英邁
(
えいまい
)
な父の石舟斎とも違っていたし、
甥
(
おい
)
の兵庫の天才肌とも多分に違っていた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
突っこんだ話をしてみたところ、果たして、ただの土民ではなく、漢室の
宗族
(
そうぞく
)
景帝の
裔孫
(
えいそん
)
ということが分った。しかも
英邁
(
えいまい
)
な青年だ。さあ、これから楼桑村の彼の家を訪れよう。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武将としての
英邁
(
えいまい
)
を養おうとするもあり、軍学を講義したりまた、源家の起りから義朝の代に至るまでを語って、牛若に、早くから「自分というものは何か」を教え込もうともした。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも帝
劉禅
(
りゅうぜん
)
は、甚だ
英邁
(
えいまい
)
の資でないのである。うごかされやすくまたよく迷う。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「岩国の
吉川
(
きっかわ
)
広家公は
英邁
(
えいまい
)
の聞えが高い。そちの父祖も、吉川家に随身の者か」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今の
僭越
(
せんえつ
)
な諫言をゆるして下さい。将軍はやはり稀世の
英邁
(
えいまい
)
でいらっしゃる。常々ひそかに、将軍の風姿を見ておるに、
古
(
いにしえ
)
の
韓信
(
かんしん
)
などより百倍も
勝
(
すぐ
)
れた人物だと失礼ながら慕っていました。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忠利は
英邁
(
えいまい
)
だった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“英邁”の意味
《名詞》
才知が非常に優れていること。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
英
常用漢字
小4
部首:⾋
8画
邁
漢検1級
部首:⾡
16画
“英邁”で始まる語句
英邁篤実
英邁豪胆