自個じこ)” の例文
何故なら、われわれは最早やここに至ると、文学を論じているのではなくして、自個じこの世界の眺め方を論じているのだからである。
「妖童般若」の図を描き上げて、こうして追い立てられるように出立したのは、自個じこの作物そのものに、また愛惜を感じてはならないと思ったからでしょう。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ふものは、碌々ろく/\貝塚かひづか發掘はつくつしてもせずに、たゞちに地中ちちう秘密ひみつつたふりをして、僅少きんせうなる遺物ゐぶつ材料ざいれうに、堂々だう/\たる大議論だいぎろんならべ、うして自個じこ學説がくせつてるのにきふひといでもい。
大阪は、余りに、自個じこをもちすぎている。
大阪を歩く (新字新仮名) / 直木三十五(著)