“紫雲英”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
げんげ60.0%
れんげそう15.0%
れんげ15.0%
クローバー5.0%
ハナコ5.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
うの花にはまだ早い、山田小田おだ紫雲英げんげのこんの菜の花、並木の随処に相触れては、狩野かの川が綟子もじを張って青く流れた。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紫雲英げんげの莖は次第に多くの葉をつけて地を這ひ、近寄つて見ると早いものはやがて花梗になるべきものをもう軸から抽き出してゐた。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
すみればかりは関東の野の方が種類も多く、色もずっとあざやかなように思われるが、蒲公英たんぽぽもまた紫雲英げんげも、花がやや少なくかつ色がさびしい。
網小屋のそばには、馬子や漁師や往来の者の湯浴ゆあみにまかせる野天風呂があって、今も、紫雲英げんげのさいている原ッぱへ、笠やわらじをぬぎすてた旅の人が、草の葉の浮いている青天井の温泉につかッて、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
髪川から、灌漑用に引かれているせきへりには、すみれや、紫雲英げんげや、碇草いかりそうやが、精巧な織り物をべたように咲いてい、水面には、水馬みずすましが、小皺のような波紋を作って泳いでい、底の泥には、泥鰌どじょうの這った痕が、柔らかい紐のように付いていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
午後の散歩に一家打連うちつれて八幡山はちまんやま北沢間きたざわかん田圃たんぼに往った。紫雲英れんげそうの花盛りである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
勿論もちろん、根を抜かれた、肥料こやしになる、青々あおあおこなを吹いたそら豆の芽生めばえまじって、紫雲英れんげそうもちらほら見えたけれども。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
稲田の畔道には、紫雲英れんげそうの返り咲きもあった。
土地 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
麦の穂は一面白金色はくきんしょくに光り、かわず鳴く田は紫雲英れんげそうくれないを敷き、短冊形たんざくがた苗代なわしろには最早嫩緑どんりょくはりがぽつ/\芽ぐんで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
春は紫雲英れんげそう花氈はなむしろを敷く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「心蓮殿、地蔵堂の地は、この辺がよろしいのう。今は、満目の雪でござるが、春ともなれば、紫雲英れんげ、菜の花、里の子供の遊び場にもようござる」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それどころか、彼は、いわば、高く澄みきった暁の星を、咲きさかる紫雲英れんげ畑の中からでも仰ぐような気持で、二人の思い出にひたることが出来たのである。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
よく見るとそれは光輪のかわりに花鬘をつけたオフィーリヤの像なので、胡粉で薔薇色に頬を染め、腕の中にすみれ紫雲英れんげ苜蓿うまごやしや、そういうつつましい野の花を抱き
ハムレット (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「お心がございましたら、一文でも二文でも、地蔵堂の建立に御寄進ねがいます。——私の死ぬまでに、それがどこかの紫雲英れんげの原に、ささやかな一宇の愛の御堂となれば、私は、その原の白骨となって御守護いたします。はい、一人でも二人でも、世の親御様たちに、私の心が届けば、それで本望なのでございます」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その頃まだ生きていた私の母が、洋琴ピアノを弾いている窓の下なぞで投げ独楽デアボロをしたり、紫雲英クローバーを摘んだりして遊んでいるところを見ると、母は洋琴の手をやめて窓越しに、微笑みながら私たちの姿を眺めていたり、時にはお菓子を包んでくれたりしたことを覚えている。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
打ち連れだって三、四人、口笛を吹きながら校門へ急ぐ姿……球を空高らかに響かせながらラケットをふるう友達たち……水泳衣みずぎを着てプールへ出掛ける友達たち、ついそこの紫雲英クローバーの上に、車座になってエンゲルスを論じている友達たち……、いずれか私にとって羨ましからぬ存在はなかったであろう。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)