春と修羅 第三集はるとしゅら だいさんしゅう
一九二六、五、二、 畑を過ぎる鳥の影 青々ひかる山の稜 雪菜の薹を手にくだき ひばりと川を聴きながら うつつにひととものがたる 一九二六、五、二、 陽が照って鳥が啼き あちこちの楢の林も、 けむるとき ぎちぎちと鳴る汚ない掌を、 おれはこれ …