神通力じんずうりき)” の例文
仏眼ぶつがんとやら神通力じんずうりきとやらで、人の心をちゃあんと見抜いてしまう坊さんだから、いくらお前が忍びや盗人が上手でも、うっかり傍へも寄れめえとこう言うんだ
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何故向日葵ひまわりは黄色いか。何故草は緑か。何故すべてがかくるか。この疑問が、この神通力じんずうりき広大な魔物を苦しめ悩ませ、ついにみじめな死にまで導いたのであった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「おれはもう、神通力じんずうりきを失ってしまった。その代りに、この通り、仏果ぶっか功力くりきというものを授かった」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なかには、やりや、鉄砲てっぽう用意よういしておいて、きたら退治たいじしてやろうとちかまえているものもありましたが、神通力じんずうりきましたあかトラは、なかなか人間にんげんにははいりませんでした。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるに一度ひとたびこの器械的の労力が金に変形するや否や、急に大自在だいじざい神通力じんずうりきを得て、道徳的の労力とどんどん引き換えになる。そうして、勝手次第に精神界が攪乱かくらんされてしまう。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ああなると神通力じんずうりきを得ておいでなさるから、とても外面うわべだけを飾って出たところで仕方がありませんな
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
世間せけんさわがせるわるいねこだ。いかほどの神通力じんずうりきがあるにせよ、科学かがくちからにはかなうまい。わたし退治たいじしてやろう。」と、電気でんき応用おうようして、いよいよ、あかトラと勝負しょうぶけっすることになったのです。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
飛行自在ひぎょうじざい神通力じんずうりきを得て、御身の軽きこと三銖さんしゅ——とございますが、三銖の銖と申しますのは、三匁でございましょうか、三十匁でございましょうか——まだ私もよく取調べておりませんが
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それをお前にたずねてみるのも野暮やぼですね、お前には、ちゃんと未然がわかる働き、神通力じんずうりきというものがあるって、みんなそう信じているから間違いはない、せっかくだけれど、ここはあきらめて
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)