知恵ちえ)” の例文
それで、わたしゃ、いそいでとびだしてきたんだけど、といって、うまい知恵ちえもなし、これからどこへいったらいいだろうねえ。
このロボというのは、灰色はいいろの大きなおおかみで、カランポー狼群ろうぐんの王といわれるだけにとても知恵ちえがはたらき、毒薬にもわなにもかからない。
てんでん、こんなことを口々くちぐちにわいわいいながら、またおてらえんの下で会議かいぎひらきました。けれどもべつだんわったいい知恵ちえも出ません。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「やはり畜生ちくしょうなどというものは知恵ちえのないものだ。とうてい、知恵ちえのある人間にんげんにはてるものでない。」といいました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
竹一が知恵ちえをめぐらしてそう決断けつだんした。こうなるともう、だれひとり反対するものはなく、秘密で出かけることがかえってみんなをうきうきさせた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「ふふん、ヤマ族は昔ながらに劣等なんだ。われわれとの知恵ちえの差はその後ますますひどくなったものと見える」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そりゃそうだな。力もろくにないうえに、知恵ちえが足りないと来てるんだから人間もかわいそうなもんだ。」
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
しかし五人かかろうが、十人かかろうが、知恵ちえを絞り出してく悪口は、つまりそれ以上の知恵さえあれば、ことごとくこれを無効ならしむることが出来る。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
昨夜のあなたのお知恵ちえ決断力けつだんりょくとに感心して、ぜひ、植民地へいって、かの地の同胞どうほうたちを助けてやっていただきたいと思い、おうかがいしたのでございます。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
ウフフフ……、だれだと思うね。ひとつあててごらん。きみは少年探偵団の団員だったね。その探偵の知恵ちえをしぼって、ひとつ考えてごらん。わしがだれだか、なぜきみを
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「そうだ、それがいちばんたいせつな命名だ。諸君知恵ちえをしぼってくれたまえ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
この、将軍様とその知恵ちえぶくろ、愚楽と、いろいろお話のあった結果でしょう。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「世間には津田よりも何層倍かむずかしい男を、すぐ手の内に丸め込む若い女さえあるのに、二十三にもなって、自分の思うように良人おっとあやなして行けないのは、畢竟ひっきょう知恵ちえがないからだ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その瞬間しゅんかん、彼女は我々みんなよりも、ずっと高貴な存在に思われ、その白い額からも、じっと動かないまゆからも、なんとも言えない明るい知恵ちえ威力いりょくが、におってくるような気がして、わたしは思わず
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「こうしていればかたわも重宝ちょうほうなものだ。世の中のやつらは知恵ちえがないからかたわになるとしょげこんでしまって、丈夫じょうぶな人間、あたりまえな人間になりたがっているが、おれたちはそんなばかはできないなあ」
かたわ者 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
愚かしい者ども知恵ちえの結晶をもとめては
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
「おれの知恵ちえはどんなもんだ。」といわぬばかりに、例の黄色の歯をむきだして、ゲラゲラ笑いながら、まるで幼い子どもが、おもちゃをこわしでもするように、残りの二つの石膏像も
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いくら頭をひねって考えてみても、見当けんとうもつきません。なぞの本もいくさつかひらいてみましたが、本にも書いてはありません。つまり、お姫さまの知恵ちえがたねぎれになってしまったのです。
とくちゃんは、正二しょうじに、いろいろ知恵ちえあたえたのです。
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小鳥は、ほかの鳥に知恵ちえをつけられたものですから、つぎの日は