盗人ぬすと)” の例文
旧字:盜人
古来の俚諺に「盗人ぬすとにも三分の理がある」という、円本の流行にも何等かの利益はあろうが、それは盗人の道理に同じ事と見る、本書の著者は
早よう云うてみたなら詐欺インチキ盗人ぬすと混血児あいのこだすなあ。商売の中でも一番商売らしい商売かも知れませんが……。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「まあ、お聞きやす、昨夜ゆうべうち盗人ぬすとが入つてましたんや。ほんまどつせ、えらい盗人ねすとなんや、それが……」
発狂してからに馬鹿な事を為居しをる奴はとがむるに足らんけれど、一婦人いつぷじんの為に発狂したその根性を、彼のフレンドとして僕がぢざるを得んのじや。間、君は盗人ぬすとと言れたぞ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
鉦鼓淵しょうこえん盗人ぬすと谷、その天上の風格は亭々ていてい聳立しょうりつする将軍台、またげんとしてたいらなる金床台きんしょうだい
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「嬉しい盗人ぬすとやおへんか、茶壺と茶筅を盗むなんて、やつぱりお茶の心得がおすのやなあ、金目のもんやつたら立派な茶匙ちやさじがおすのに、それは残しておいたるんやさかいな。」
俺も一箇ひとりの女ゆゑに身を誤つたそのあとが、盗人ぬすと家業の高利貸とまで堕落してこれでやみやみ死んで了ふのは、余り無念とは思ふけれど、当初はじめ出損でそくなつたのが一生の不覚、あれがそもそも不運の貫一のからだ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「腹は立たん? それぢや君は自身に盗人ぬすととも、罪人とも……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お茶盗人ぬすと9・10(夕)