瘡毒そうどく)” の例文
彼は、下田から一里ばかりの蓮台寺れんだいじ村にある湯が、瘡毒そうどく疥癬しつにいいということをきいたので、すぐその日、蓮台寺村に移って入湯した。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「青葉の時節になると、持病の喘息も少しはよくなりますが、この春から瘡毒そうどくで足が立たなくなりました。柱につかまって、家の中を歩くのが精一杯です」
下の方が何か瘡毒そうどくねがいが利くとか申して女郎しゅや何かゞ宜くお詣りにまいって、泥でこしらえたる団子を上げます。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで今、伝馬町てんまちょうの薬屋で瘡毒そうどく一切いっさい妙薬みょうやくといふ赤膏薬あかこうやくを買つて来たのだが、そこで直ぐに貼つてしまへばいのに、極まりを悪がつて其儘そのままに持つてゐるのだ。
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「これは瘡毒そうどくだ」去定は少女の口尻にある腫物はれものした、「おれはまえから見ていたんだ、からだにもこれができている、これは病毒持ちの客に接しなければできない病気だ」
第四 冬寒支体僵瘃きょうちょくノ病 雪塊ヲ取テ患部ニ擦搽さったスレバ即チユ 又臘雪水甘クシテ大寒 天行えきヲ解シ一切ノ瘡毒そうどくヲ療ス ソノ他諸病ニ於テかならずツ所ニシテ医家欠クベカラズ
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「それも瘡毒そうどくが頭へ来て、毛の脱けた奴かもしれねえぜ」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
宮のおやまの瘡毒そうどく身に
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)