異類いるゐ)” の例文
のどをしめられるやうな呻き声に変つたと思ひますと、やつと良秀は眼を開いて、針で刺されたよりも慌しく、矢庭にそこへね起きましたが、まだ夢の中の異類いるゐ異形いぎやう
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「……ほこらえんしたましたがね、……御存ごぞんじですか……異類いるゐ異形いぎやういしがね。」
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この水墨の薄明うすあかりの中に、或は泣き、或は笑ふ、愛すべき異類いるゐ異形いぎようである。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かつ河陽かやう金谷きんこく別莊べつさういとなむや、花果くわくわ草樹さうじゆ異類いるゐ禽獸きんじうひとつとしてあらざるものなし。とき武帝ぶていしうと王鎧わうがいへるものあり。驕奢けうしや石崇せきそう相競あひきそふ。がいあめもつかまれば、そうらふもつたきゞとす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯今たゞいまおびれたをさないのの、じつたものにると、おほかみとも、とらとも、おにとも、ともわからない、すさまじいつらが、ずらりとならんだ。……いづれも差置さしおいた恰好かつかう異類いるゐ異形いぎやうさうあらはしたのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)