現人神あらひとがみ)” の例文
一首の意は、天皇は現人神あらひとがみにましますから、今、天にとどろいかずちの名を持っている山のうえに行宮あんぐうを御造りになりたもうた、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あるいは生きている間から現人神あらひとがみと呼ばれたり、または人間はだれでも仏性を備えているものとして、即身成仏そくしんじょうぶつと唱えられる。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
こうして、祖母と伯母二代の女帝によって現人神あらひとがみとしての成人を希われ祈られ待たれた首皇子は、後の聖武天皇であった。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
天皇は、現人神あらひとがみというようなものではない。人間であると、天皇みずから、人民に宣言されている。これは、米人の指図があつたにせよ、正しいことである。
大君、日の本の若き大君、かんながら朗らけき現人神あらひとがみ。青空やかぎりなき、國土くにつちやゆるぎなき。萬づ世の皇統みすまる皇孫すめみまや天津日繼。ああ我が天皇すめらみこと。大君、道の大君、大稜威。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
更に端的に云えば、現人神あらひとがみたる天皇の御存在が世界統一の霊力である。しかも世界人類をしてこの信仰に達せしむるには日本民族、日本国家の正しき行動なくしては空想に終る。
戦争史大観 (新字新仮名) / 石原莞爾(著)
所詮は長尾ながお僧都そうずは申すまでもなく、その日御見えになっていらしった山の座主ざす仁和寺にんなじ僧正そうじょうも、現人神あらひとがみのような摩利信乃法師に、きもを御くじかれになったのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
従つて国家の繁栄は、国民の繁栄であり、国民の繁栄は、国家の繁栄である。国民は、各氏の氏神を祭ると共に、天照大神あまてらすおほみかみをはじめ、天つ神を崇敬し、同時に天皇を現人神あらひとがみと仰ぎ奉つた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「親房はよく言います。天皇は現人神あらひとがみでおわしますと」
かうして祖母と伯母二代の女帝によつて現人神あらひとがみとしての成人を希はれ祈られ待たれた首皇子は後の聖武天皇であつた。
道鏡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
大君、日の本の若き大君、かんながら朗らけき現人神あらひとがみ。青空やかぎりなき、国土くにつちやゆるぎなき。万づ世の皇統みすまる皇孫すめみまや天津日継。ああ我が天皇すめらみこと。大君、道の大君、大稜威。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天皇はみずから現人神あらひとがみであることを否定して、従来日本におけるキリスト教の伝道及び信仰を阻害した最大の障害が除去され、思想及び信仰の自由は実質的に強化された。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
人類が心から現人神あらひとがみの信仰に悟入したところに、王道文明は初めてその真価を発揮する。
最終戦争論 (新字新仮名) / 石原莞爾(著)
それならば、いつたい、明治以後「現人神あらひとがみ」といわれてきた天皇は、歴史上、どういう地位のものであつたか。人民からは、どのような取りあつかいを受けていたものであつたか。
かんながら朗らけき現人神あらひとがみ。青空やかぎりなき。国土くにつちやゆるぎなき。万づ世の皇統みすまる皇孫すめみまや天津日継。ああ、我が天皇すめらみこと。大君。道の大君。大稜威。今こそは依り立たせ、けふこそは照り立たせ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
俗書では、天皇が女帝と道鏡の肉体的な関係をいさめて女帝の怒りをかったとあるが、そんなことが考えられるであろうか。女帝は自分を選んで帝位にけてくれた生れながらの現人神あらひとがみである。
安吾史譚:02 道鏡童子 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
現人神あらひとがみなどではなかった。
大いなり、今にして現人神あらひとがみ、かくおはせば
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)