狐拳きつねけん)” の例文
殊更ことさら強く聞きかえした。向きあうと、かならずこういうかたちになる夫婦なのである。主水は狐拳きつねけんでもしているようだと思うことがある。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
若殿と二人で夜おそくまで、宿の女中にたわむれて賭事かけごとやら狐拳きつねけんやら双六すごろくやら、いやらしく忍び笑いして打興じて、式部は流石さすがに見るに見兼ね
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それにあの晩六助と勘次は、親分の鐘五郎を送つて部屋の入口まで來たことは確かだが、そこで親分と別れてもとの席へ歸つたのは、喜太郎も見てゐる——それからは狐拳きつねけんの曲飮みだ
もう冬の寒い時だったので、狐拳きつねけんで負けるたびに、帯留め、帯揚げ、帯と一枚々々がされ、次ぎには罰杯のコップ酒をいられ、正体もなくへとへとに酔って帰ったことがあったが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
これによって三囲堤の下にあった葛西太郎かさいたろうという有名な料理屋は三下さんさがりの俗謡に、「夕立や田をみめぐりの神ならば、葛西太郎の洗鯉、ささがかうじて狐拳きつねけん。」とうたわれていたほどであったのが
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あれ、あの真赤まつか狐拳きつねけん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鏡に向って両肌もろはだを脱ぎ角力取すもうとりが狐拳きつねけんでもしているような恰好かっこうでやっさもっさおしろいをぬたくって、化物のようになり、われとわが顔にあいそをつかしてめそめそ泣き出し、お針のお六は
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「六助と勘次——あの二人の裏切り野郎は、狐拳きつねけんで飮んでゐましたよ」
まぐれな狐拳きつねけん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「六助と勘次——あの二人の裏切り野郎は、狐拳きつねけんで飲んでいましたよ」
「勘次と狐拳きつねけんで飮んでゐましたよ」
「勘次と狐拳きつねけんで飲んでいましたよ」