はい)” の例文
孫立もあとから馬で十里はいへ追っ着いた。店の前には貨財を積んだ馬、車、旅支度をした若い者。すでに立退たちのく準備が待ちかねている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麻雀なども、美智子や、宗三にすすめられるので仕方なしにはいを手にしているものの、興味はちっとも感じられないのであった。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして、「玻璃はり製の大燭台だいしょくだい、東方諸国の織物、金や青銅の記念はい、未亡人用の透かしレース、彩色彫刻、花模様の陶器」
顧炎武はかつてはいを室に懸けて応酬文字を拒絶した。この「なかじきり」もまた顧家懸牌の類である。
なかじきり (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すべてのはいと名のつくものがむやみにかちかちしていつまでも平気に残っているのを、もろうた者の煙のごとき寿命と対照して考えると妙な感じがする。それから二階へ上る。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
賊等ぞくらきそうてこれをあばく。はう一丈いちぢやうばかりるに、地中ちちうふかところ四個しこ房閣ばうかくありけり。たゞひがしばうには、弓繒きうそう槍戟さうげきちたる人形にんぎやうあり。みなみばうには、繒綵そうさい錦綺きんきうづたかし。はいありていは周夷王所賜しうのいわうたまふところ錦三百端にしきさんびやくたんと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その時、ディズニーは四つの賞はいをもらった。
ディズニーの人と作品 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
○林本源邸所蔵執事はいの字
台湾の民芸について (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
兄弟ふたりも言っておりました。じつは十里はいで居酒屋をやっている姉さん同様な人がいるんだが……と、牢の中で、涙をたれて」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、妻を車に乗せ、自身は騎馬で、兵卒十人ばかりを供につれ、急遽きゅうきょ、休暇願いを出して、明けがた十里はいへ急いで来た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知って、はいをかけおいたのは予のとがである。——否、自分の小心のなせるわざと明らかに告白する。いま自身でこれへ追ってきたのは、その小心をみずから恥じたからである
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)